「子宮筋腫」ってどんな病気?手術が必要なの?
「子宮筋腫」とは
「子宮筋腫」とはどのようなものなのでしょうか?
「子宮筋腫」は子宮の筋肉の中にできる良性腫瘍です。主にエストロゲンという女性ホルモンによって大きくなります。大きいものが1個できる場合もあれば、小さいものが何十個もできる場合もあります。
「子宮筋腫」がある場合の症状
「子宮筋腫」ができるとどのような症状があるのでしょうか?
「子宮筋腫」ができる場所によって異なりますが、主な症状は月経痛と経血量が増えることです。筋腫ができる場所によっては子宮自体が大きくなり、子宮内膜の面積が増えると生理の度に経血として流れ落ちる子宮内膜も増えるため、経血量が多くなります。また、子宮がいびつな形に変形してしまうと、経血がスムーズに流れ出なくなり生理の期間が長くなったり、圧力がかかって痛みが出たりすることもあります。大きいと腹部膨満感や頻尿、便秘、腰痛などをきたすこともあります。
「子宮筋腫」ができる原因
「子宮筋腫」はなぜできるのでしょうか?
大元のきっかけはわかりませんが、女性ホルモンによって大きくなります。
「子宮筋腫」ができやすい人
「子宮筋腫」はどんな人にできやすいのでしょうか?
女性ホルモンによって大きくなるので、生理がある方であれば誰でもできる可能性があります。小さなものも含めると30歳以上の女性の20〜30%に見られると言われており、比較的誰でもなりやすい病気です。40代前後で出産経験がない方が、経血量が多く貧血が指摘されて婦人科を受診した ところ子宮筋腫が見つかる、といったパターンが多いように感じます。
「子宮筋腫」が見つかった場合の治療方法
なるほど、誰にでも起こりうる病気なのですね。「子宮筋腫」が見つかった場合はどのような治療を行なうのでしょうか?
「子宮筋腫」の大きさや数がどの程度のものなのか、どこにできたか、妊娠希望かどうかで対応が変わります。たとえば2cm程度の筋腫が子宮の外側寄りに1個あるだけだと、あまり症状も出ないはずなのでその筋腫のためだけに治療は行わない、というのが一般的です。なので、小さい筋腫が見つかったものの何も症状がなく、経過観察のみで過ごしている、という方も多いです。反対に10cm以上の腫瘍があったり、症状が重い場合や妊娠において悪影響を及ぼしたりしそうな場合には摘出手術を行うこともあります。
「子宮筋腫」を治す薬はありますか?
「子宮筋腫」を根本的に消してしまう薬はありません。閉経に近いようなホルモン状態にする強めのホルモンのお薬を使用するとかなり縮小することがありますが、長期投与ができない薬なので、難治症例や不妊治療の直前、手術前や閉経が近い方など、使用する場面は限られています。日常的な症状を和らげるという点では、ピルの処方や、出産経験がある方にはミレーナ®などの子宮内避妊リングを装着して症状緩和を目指すことが多いです。
「子宮筋腫」と不妊の関係
そうなのですね。「子宮筋腫」ができると 不妊につながるのでしょうか?
不妊につながることもありますね。小さな筋腫であればそれほど問題はないのですが、大きな筋腫ができて子宮内膜がいびつな形になった場合や子宮内腔側に飛び出る子宮筋腫がある場合には、受精卵が子宮に着床しづらくなります。
また、妊娠しても流産につながったり、赤ちゃんに栄養を届ける “胎盤” の血流が悪くなり、赤ちゃんの生育を妨げてしまったりする場合があります。筋腫が変性して強い腹痛を起こしたり切迫早産になったりすることもあります。あとは筋腫が邪魔になって赤ちゃんが頭を下に向けられなくて帝王切開になることや、お産の時に子宮がうまく収縮できなくなったり赤ちゃんがうまく産道を通れなくなったりする場合もあります。
なるほど。妊娠や出産へ与える影響は少なからずあるのですね。
そうですね。もし月経痛や経血量が多くて悩んでいる方がいれば、ぜひ婦人科を受診して「子宮筋腫」の早期発見に努めていただきたいと思います。
平塚先生、ありがとうございました!
まとめ
この記事では、平塚先生に「子宮筋腫」ついてお話いただきました。 ポイントをま とめると下記の通りです。
- 「子宮筋腫」とは、子宮の筋肉の中にできる良性腫瘍のこと。
- 症状は筋腫ができる場所によって異なるが、月経痛と経血量が増えること。
- 小さな筋腫も含めると30歳以上の女性の20〜30%に見られると言われている。
- 大きな筋腫ができた場合や、できる場所によっては不妊に繋がることもある。
- どこにできたか、妊娠希望かどうかで治療が異なる。場合によっては摘出手術が必要な場合もある。
妊娠出産に影響することもある「子宮筋腫」。重い月経痛や経血の量が多くて困っている方は、病気の早期発見のためにも、一度婦人科を受診してみてください。
日本専門医機構認定産婦人科専門医
2018年3月 東京大学医学部医学科 卒業
2022年4月 帝京大学医学部附属溝口病院 産婦人科