「子宮頸がん検診」って?いつから受けた方がいいの?
「子宮頸がん」とは
まず、「子宮頸がん」はどんな病気なのでしょうか?
「子宮頸がん」とは、子宮の入り口にできるがんのことです。20〜30代の方で、乳がんと並んでかかりやすいがんですね。基本的には初期症状はないのですが、進行してくると不正出血や性行為での痛み、下腹部の痛みなどの症状が出る場合があります。また、子宮の入り口ではなく子宮の中にできるがんを「子宮体がん」といいます。
「子宮頸がん」の原因
そうなのですね。「子宮頸がん」にはどのような原因があるのでしょうか?
主な原因はヒトパピローマウイルス(HPV)というウイルスの感染です。HPVは、性交渉を一度でも経験したことがある方であれば感染リスクがあります。HPV は感染しても免疫によって自然に改善していく場合がほとんどですが、感染した細胞がまれに異形成をおこし、将来的にがん細胞に変異してしまうことがあります。
「子宮頸がん」の検査方法
多くの女性に発病の可能性がある病気なのですね。がんにかかっているかを検査するにはどうすればよいのでしょうか?
「子宮頸がん検診」という検査があります。
どのように検査をするのでしょうか?
「子宮頸がん検診」では腟の中に診察の器具を入れて、綿棒やブラシのようなもので子宮の入り口をこすり取って検査を行います。
「子宮頸がん検診」の価格や検診方法
そうなのですね。「子宮頸がん検診」はどこで、どのくらいの価格で受けられるのでしょうか?
20歳以上の女性であれば、2年に1回お住まいの地域の自治体から検診のお知らせが届くかと思います。検診は指定の医療機関で受けられます。検診費用は無料〜高くても1,000円くらいですが自治体によって異なりますので、一度お住まいの地域の情報を調べておくとよいでしょう。また、自治体の定期診断以外でも、必要があれば婦人科でいつでも検査できますよ。
「子宮頸がん検診」ではどのようなことがわかるのでしょうか?
子宮頸がんになっているか診断するために精密検査が必要か、不必要かがわかります。もし精密検査が必要な場合には医療機関でより詳しい検査を行います。精密検査では子宮頸部の細胞が、どの程度の異形成を起こしているかを検査します。先ほどお伝えしたようにHPV感染はご自身の免疫力で自然に治る場合も多いので、最初の精密検査の後は3〜6ヶ月、最長1年置きぐらいのペースで異形成が進んでいるか、それとも治ってきているかを定期的に検査して様子を見ていくことになります。もし異形成が高度に進んだり、がんになっていることがわかったりした場合には治療をします。
性交渉の経験がない場合や未 成年の場合には
なるほど、長期的な検査が必要な場合もあるのですね。性交渉の経験がない場合でも「子宮頸がん検診」は受けた方がよいのでしょうか?
難しい質問ですね。子宮 頸がんの主な原因は、性交渉によるHPV感染なのですが、HPV感染を介さずに子宮頸がんになることもあります。また、子宮頸がんのほかにも子宮や卵巣の病気の早期発見にもつながるので、少なくとも一度は婦人科を受診して検診を受けてほしいと思います。
「子宮頸がん検診」の際には痛みがあるのでしょうか?
こすり取る際にはあまり痛みを感じないといわれていますが、診察の器具を入れる際には、人によって少し痛みや違和感を感じる場合があります。
そうなのですね!ちなみに、20歳未満の場合は検診の必要はないのでしょうか?
基本的には必要ありません。ただ不正出血や気になる症状がある場合は、婦人科の先生の判断で検査を行うこともあります。
「子宮頸がん検診」で、子宮体がんについてはわかるのでしょうか?
がんが発症する場所が違うので「子宮頸がん検診」では、子宮体がんについては基本的には判断できません。子宮体がんは子宮の入り口ではなく子宮の中にできるがんなので、「子宮頸がん検診」とは別で、エコーやさらに奥の方に器具を入れて内部をこすり取る検査を行う必要があります。
「子宮頸がん」の予防方法
なるほど。「子宮頸がん検診」以外に子宮頸がんの予防策はあるのでしょうか?
検診以外では、HPVワクチンによる予防が効果的です。子宮頸がんはHPV感染が主な原因なので、それに対応するワクチンを接種することが予防になります。実はHPVには種類がいくつもあるのですが、2023年1月現在、日本国内で使用できるHPVワクチンには、2種類(2価)、4種類(4価)、9種類(9価)のHPVの感染を予防する3タイプのワクチンがあります。これまで2価、4価が中心でしたが、新しく9価ワクチンが登場し、2023年4月から定期接種の対象に加わる見込みです。HPVワクチンは定期接種の年齢の方以外でも無料で接種できる可能性があるので、調べてみるのもおすすめです。もちろん自費で接種することも可能です。
また、性交渉の際にコンドームを正しく使用することもHPV感染予防にな りますよ。
平塚先生、ありがとうございました。
まとめ
この記事では、平塚先生に「子宮頸がん検診」ついてお話いただきました。 ポイントをまとめると下記の通りです。
- 「子宮頸がん検診」は、腟の中に診察の器具を入れ、綿棒やブラシのようなもので子宮の入り口をこすり取って検査する。
- 検診の際痛みはないが器具を入れる時に違和感を感じる場合もある。
- 「子宮頸がん検診」では、がんと診断するための精密検査が必要か、不必要かがわかる。
- 20歳未満の場合は基本的に検診の必要はない。
- 「子宮頸がん検診」以外にもHPVワクチン摂取も子宮頸がん予防に効果的。
「子宮頸がん」は進行するまで気づきにくい病気です。ワクチン接種や 定期的な検診を受け、早期発見に努めましょう。
日本専門医機構認定産婦人科専門医
2018年3月 東京大学医学部医学科 卒業
2022年4月 帝京大学医学部附属溝口病院 産婦人科