不妊治療って?かかる費用や期間、不妊の原因とは
そもそも「不妊」とは
そもそも「不妊」とはどのような意味なのでしょうか?
「不妊」とは1年以上避妊せずに性行為を続けているのにもかかわらず、妊娠しない状態のことをいいます。
「不妊」の原因とその検査
不妊の原因にはどのようなものがあるのでしょうか?
不妊にはさまざまな原因があります。排卵が正常に行われない、排卵された卵子が卵管の中にうまく取り込めていない、受精がうまくいかない場合や精子が卵子に届かなかったり、正常にはたらかなかったり、何らかの理由で性行為ができないなどさまざまな原因が考えられます。
考えられる不妊の原因について、検査する方法はあるのでしょうか?
考えられる原因それぞれについて部分的には検査できます。しかし、妊娠にはさまざまな過程が必要なため、全て検査しても不妊の根本的な原因を突き止めることは難しいです。たとえば体外受精で卵子と精子が受精しなかった場合 “受精障害” があることはわかりますが、実際患者さんの体内のどの工程で受精障害の原因が発生しているかは完全にはわかりません。
不妊の原因は突き止めにくいのですね。
まれに早い段階で男性側の無精子症だということがわかったり、女性側が子宮卵管造影検査(卵管が正常に通っているかの検査)をして異常が見つかったりして不妊が解決に向かうこともありますが、明確に理由が判明する方はごくまれですね。いろいろな検査を行ってみて結果的に妊娠する方が多いです。
何から調べればよいかわからない場合、どんな検査をする方が多いのでしょうか?
まず入門としてホルモンの検査や精子がいるかどうかの検査をされる方はいらっしゃいますね。どのようなことでどの程度悩まれているかは個人差があるので、その方にあった治療や検査を段階を経て行っていくことになります。
不妊治療に必要な期間
不妊治療にはどのくらいの期間が必要なのでしょうか?
個人差があるので、平均期間はお答えしづらいですね。治療を始めて早 い段階で妊娠して卒業される方もいらっしゃいますし、何年もかかる方もいらっしゃいます。妊娠に対する考え方や必要な治療は人それぞれなので治療期間には個人差はありますが、私のクリニックでは半年〜1年以内の妊娠を目標に治療に当たっています。
不妊治療にかかる費用
不妊治療にはどのくらいの費用がかかるのでしょうか?
こちらも個人差があり、どの程度妊娠に苦戦するかによって金額は大きく変わるので平均金額は出しづらいです。検査は保険適用なので大きな金額はかからないのですが、主に体外受精を行う場合に金額がかかりがちです。たとえば排卵を誘発するための注射が多く必要になったり、採卵や移植がうまくいかず何度も同じ工程を10〜20回行う方もいらっしゃいます。そうするとその分お金がかかるため、トータルでかかる費用も大きくなります。もちろん体外受精ですぐに受精に成功する方もいらっしゃいます。
2023年4月から人工授精等の「一般不妊治療」、体外受精・顕微授精等の「生殖補助医療」が保険適用になりましたが、不妊治療にかかる費用が変わるのでしょうか?
かなり負担が減ると思います。たとえば体外受精にかかる費用を例として挙げると、採卵〜移植でこれまで80万円程度かかっていたものが、保険適用で自己負担が20万円程度に、さらに高額医療費控除も受けられる可能性があるのでその場合は自己負担8万円程度になる場合もあります。
自費診療から保険適用になり、かなり金銭面での負担が減ったのです ね。松本先生、ありがとうございました!
まとめ
この記事では、松本先生に「不妊治療」についてお話いただきました。 ポイントをまとめると下記の通りです。
- 「不妊」とは1年以上避妊せずに性行為を続けているのにもかかわらず、妊娠しない状態のことをいう。
- 「不妊」の原因は、排卵が正常に行われない、排卵された卵子が卵管の中にうまく取り込めていない、受精がうまくいかないなどさまざま。
- 不妊治療では、患者の状況に合わせてホルモン検査や精子の検査などを行うこともある。
- 不妊治療にかかる時間には個人差があり、何年もかかる場合もあるが、クリニックによっては半年〜1年での卒業を目指して治療にあたる。
- 不妊治療にかかる費用にも個人差があり、特に体外受精を行う場合に高額になることが多い。
- 2023年4月から人工授精等の「一般不妊治療」、体外受精・顕微授精等の「生殖補助医療」が保険適用になり、患者の費用負担が軽くなった。
治療方法や治療にかかる期間によっては、高額になりがちな不妊治療。しかし2023年度から一部が保険適用になったことで、患者の費用負担が多少軽減されました。なかなか妊娠できず悩んでいる場合には、専門家のサポートを受けながら治療を行うのもよいかもしれません。
2007年 聖マリアンナ医科大学卒業
2010年 東京大学産婦人科学教室 入局
2013年〜2017年 東京大学大学院医学研究科博士課程 医学博士
着床の研究に従事
2017年 東京大学医学部附属病院 助教
2018年 松本レディースクリニック 副院長
2020年 松本レディースリプロダクションオフィス 院長
一般社団法人メディカルフェムテックコンソーシアム 理事長
2021年 医療法人社団愛慈会松本レディースクリニック 理事長
2022年 JISART 理事