不妊治療から産院まで。妊娠・出産に関わる病院選びのポイントは?
妊娠したいと思ったらどんな病院を選ぶとよいのか
妊娠したいと考えた時、どんな病院を受診すればよいのでしょうか?
妊娠を考え始めた初期段階の場合は、まずは婦人科や産婦人科で相談するのもよいと思います。しかし、なかなか妊娠ができないような場合や、早めの妊娠を真剣に考えるのであれば、体外受精もできるような不妊治療専門のクリニックを受診するのがよいでしょう。
なるべく近くの病院を受診したほうがいいのでしょうか?
通いやすさを重視することも重要ではありますが、地域によっては不妊治療専門のクリニックが近くにない場合もあります。妊娠後はご希望の病院への紹介状を作成しますので、不妊治療の段階では必ずしも自宅から近くでなくても大丈夫ですよ。
「婦人科」と「産婦人科」の違いとは
「婦人科」と「産婦人科」にはどのような違いがあるのでしょうか?
正確にはお産ができる「産科」と「婦人科」の呼び名がありますが、明確には定義されていません。そのため「産婦人科」と病院名に付いていても実はお産を取り扱っていない場合もあるので注意してください。
出産する病院の選び方
出産する病院(産院)を選ぶ時はどのようなことに気をつけるとよいのでしょうか?
医師としてはまず第一に通いやすさや緊急時の対応のしやすさを重視してほしいので、自宅から30分以内の病院を探すようにしていただきたいです。陣痛や破水が起きた際も近くの病院であれば、早く対応できるので安心です。また、合併症を持っている場合や子宮筋腫の手術経験がある方などは、産婦人科がある総合病院や周産期母子医療センターなどを受診することが多いです。何も病気がない方は個人病院で問題ないと思います。
妊娠時は有事に備えて通いやすい病院を選ぶことが大切なんですね。通いやすさ以外にも考慮した方がよいポイントはありますか?
食事のおいしさや、ベッドの質も病院によって違うので比較してみるとよいかもしれません。病院にもよりますが、お産を専門に扱う個人病院の方が食事やベッドにこだわっている印象がありますね。また、産後ケアや母親学校のサービスが充実している病院もあります。
出産費用は病院によって違うのでしょうか?
出産費用は地域の制度や病院、出産方法によって違います。正常分娩では平均50万円と言われています。また、無痛分娩などの分娩方法によっても費用は変わりますし、個人病院・総合病院に関わらず、サービスやホスピタリティにこだわった費用が高めのセレブ系病院もあるため、出産費用には幅があります。
なるほど。いろいろな視点で検討する必要がありそうですね。
そうですね。命に関わることですので、まずは “30分以内で行ける” という点を重視していただきたいですが、もし選択肢があるのであればSNSやネット情報や口コミも参考に自分にあった病院を選んでみるのもよいと思います。
松本先生、ありがとうございました!
まとめ
この記事では、松本先生に、不妊治療や妊娠・出産に関わる「病院の選び方」についてお話いただきました。 ポイントをまとめると下記の通りです。
- 妊娠を考え始めた初期段階では、婦人科や産婦人科で相談するのも手。なかなか妊娠できない場合や、早めの妊娠を希望の場合は不妊治療専門のクリニックの受診がおすすめ。
- 不妊治療により妊娠した場合は、妊娠後は希望の産院への紹介状を作成してもらえる。
- 「婦人科」と「産婦人科」の名称は、明確には定義されておらず、「産婦人科」でもお産を取り扱っていない場合もある。
- 産院選びでは、緊急時にすぐ通えるかが特に重要。なるべく自宅から30分以内で行ける病院を選ぶことが大切。病院の選択肢がある場合には、食事のおいしさやベットの質、産後ケアの充実度などで選ぶのもよい。
- 出産費用は、分娩方法や病院の方針によって大きく異なる。
- 正常分娩であれば平均50万円が目安と言われている(2023年4月現在)
妊娠や出産に関わる病院はさまざま。不妊治療においては治療方法や体外受精の有無などを考慮し、産院選びではいざというときにすぐに向かえる距離にあることを第一に考えつつ、分娩方法や費用、サービスやホスピタリティ、食事に定評があることなど、さまざまな観点から比較するのがよいでしょう。
2007年 聖マリアンナ医科大学卒業
2010年 東京大学産婦人科学教室 入局
2013年〜2017年 東京大学大学院医学研究科博士課程 医学博士
着床の研究に従事
2017年 東京大学医学部附属病院 助教
2018年 松本レディースクリニック 副院長
2020年 松本レディースリプロダクションオフィス 院長
一般社団法人メディカルフェムテックコンソーシアム 理事長
2021年 医療法人社団愛慈会松本レディースクリニック 理事長
2022年 JISART 理事