「子宮体がん」とは?どんな不正出血に注意が必要?
「子宮体がん」とは
「子宮体がん」とはどのような病気なのでしょうか?
「子宮体がん」は、子宮体部にで きるがんです。通常、月経時に経血として流れ出る子宮体部の内側 “子宮内膜” の部分に発生することから「子宮内膜がん」と呼ばれることもあります。
「子宮頸がん」との違い
「子宮頸がん」とは違う病気なのでしょうか?
「子宮頸がん」は、子宮の入り口 (頸部) にできるがんのことです。子宮体がんと子宮頸がんでは、発生場所や原因、治療法も異なるので、最近は「子 宮がん」という言葉は使用されません。
「子宮体がん」の原因
「子宮体がん」の発症原因は何なのでしょうか?
「子宮体がん」のほとんどは、エストロゲンという女性ホルモンのはたらきが過剰になり、子宮内膜が異常に増殖することで発症します。女性の身体は、エストロゲンという女性ホルモンのはたらきで子宮内膜を厚くして、いつ妊娠してもいいように準備しています 。妊娠しない場合にはこの内膜を排出するのですが、これが “月経”です。子宮体がんになると、この子宮内膜が異常に増殖したような状態になります。
「子宮体がん」の症状
「子宮体がん」には、どのような症状が見られますか?
主な初期症状としては、不正出血や月経不順が見られます。また、おりものに色が付いていたり、変な匂いがしたり、といった症状もあります。
「子宮体がん」に特に注意が必要な人
どんな人が「子宮体がん」に特に注意が必要なのでしょうか?
子宮体がんは閉経前後 (50〜60代以降) に多い病気ですが、若い方では、不正出血や月経不順、肥満傾向がある場合などは特に注意が必要です。
こんな不正出血に注意
不正出血がある場合は、まず子宮体がんを疑った方がよいのでしょうか?
不正出血があっても必ずしも子宮体がんであるとは言い切れません。肥満傾向のない若い方で規則正しく生理がある場合には “排卵時の出血” の可能性も高いです。基礎体温を測れば排卵日を把握できるので、まずはご自身で確認してみるのもよいでしょう。もちろん心配な方は婦人科を受診して、経腟エコー検査 (経腟超音波検査) で確認するのもよい方法です。
閉経前に生理不順になることは多いと思うのですが、子宮体がんを疑った方がよいのでしょうか?
たしかに閉経が近づくと生理不順や不正出血の症状が見られることが多いです。子宮体がんの症状と気づかずに見逃してしまう方もいらっしゃいます。「閉経による不正出血かな」と思っても、2週間以上少量でも出血が続く場合には婦人科を受診し、検査を受けていただきたいです。
「子宮体がん」の検査や治療方法
「子宮体がん」はどのように検査をするのでしょうか?
経腟エコー検査で子宮内膜を確認したり、子宮内膜細胞診という子宮内部の細胞を採取して調べる検査などを行います。
「子宮体がん」はどのように治療するのでしょうか?
発見時の進行状態にもよって治療方法は異なりますが、治療の第一選択は「手術」です。早期にがんが発見できた場合は、開腹手術よりもより身体的負担が軽い「腹腔鏡手術」が行われることが多くなっています。
「子宮体がん」の予防
「子宮体がん」はどのように予防すれば良いのでしょうか?
まずは、肥満傾向にならないように生活習慣を見直しましょう。また、更年期以降に多い病気のため、症状がなくても子宮頸がん検診の際に経腟エコー検査も定期的に受けていただくと安心です。
低用量ピルは子宮体がんの予防になるのでしょうか?
子宮体がんでは、低用量ピルの服用により発症リスクが低下すると言われています。(※低用量ピルの内服は、ガイドライン上、50歳未満とされています)
そうなのですね。鈴木先生、ありがとうございました!
まとめ
この記事では、鈴木先生に「子宮体がん」についてお話しいただきました。ポイントをまとめると下記の通りです。
- 子宮体がんとは、子宮体部にできるがん。子宮体部の内側 “子宮内膜” の部分に発生することから「子宮内膜がん」と呼ばれることもある。
- 子宮体がんの主な初期症状は、不正出血や月経不順。また、おりものに色が付いていたり、変な匂いがしたり、といった症状がある場合も。
- 子宮体がんは閉経前後 (50〜60代以降) に多い病気だが、若い女性でも不正出血や月経不順、肥満傾向がある場合などは注意が必要。心配な方は婦人科を受診する。
- 閉経が近づくと生理不順や不正出血の症状が見られることが多いが、2週間以上少量でも出血が続く場合には婦人科を受診し、検査を受けることが大切。
- 子宮体がんの検査には、子宮内膜を確認する「経腟エコー検査 (経腟超音波検査)」や、「子宮内膜細胞診」という子宮内部の細胞を採取して調べる検査などがある。
- 子宮体がんの予防として、肥満傾向にならないようにすることや、定期的に経腟エコー検査を受けることなどが挙げられる。また、低用量ピルの服用により子宮体がんの発症リスクが低下すると言われている。
50〜60代以降に患者数が増える子宮体がんは、女性が特に気をつけた いがんのひとつ。少量の不正出血でも長期間続く場合や異常を感じた場合には、婦人科を受診し検査を受けるようにしましょう。
1996年3月浜松医科大学卒業
1996年5月浜松医科大学医学部付属病院産婦人科
その後、大学関連病院勤務を経て
2003年3月浜松医科大学大学院修了
2003年4月米国カリフォルニア大学サンディエゴ校医学部がんセンター
2006年4月聖隷健康診断センター
2010年4月聖隷健康サポートセンターShizuoka 所長 現在に至る
2016年4月静岡県立大学客員教授