妊娠する前に受 けた方がよい検査や検診って?
妊娠に向けて、受けておきたい検査や検診
妊娠前に受けておいた方がいい検査や検診はありますか?
女性の場合、子宮頸がん検診、乳がん検診などの婦人科検診は定期的に受診していただき、子宮や卵巣に異常がないかを確認することが大切です。会社によっては婦人科系の検診がオプションになっている場合もあります。「子宮頸部細胞診」や「経腟超音波 (経腟エコー) 検査」、30代からは「乳房エコー」などは、病気の早期発見のためにオプションでもぜひ定期的に受けていただきたいと思っています。
また、風疹・はしかの抗体検査を行い、抗体がない場合にはワクチン接種を行うことも大切です。
妊娠時の風疹・はしか感染よる赤ちゃんへの影響
風疹・はしかに感染すると、赤ちゃんにどのような影響があるのでしょうか?
妊娠中は風疹・はしかのワクチンを接種できません。妊娠中、風疹に感染した場合には赤ちゃんにとって先天性心疾患、難聴、白内障などの原因になり、はしかに感染した場合には早産や流産、低出生体重児のリスクを高めることになります。
そうなのですね… 。風疹・はしかの抗体検査やワクチン接種はどこでできるのでしょうか?
内科などお近くの医療機関で検査やワクチン接種が可能です。
そのほか受けた方がよい予防接種はありますか?
「HPVワクチン」接種もぜひ検討を
「HPV (ヒトパピローマウイルス) ワクチン」の接種もぜひ検討いただきたいです。HPVは、性的接触のある女性の50%以上が生涯に一度は感染すると言われています。多くは自然に治りますが、一部で感染が持続し子宮頸がんに進行してしまうことがあります。
小学校6年から高校1年相当の女性に対する定期接種に加え、平成9年度生まれ〜平成18年度生まれの女性で、HPVワクチンの定期接種を受けていない方は2024年3月まで公費で「キャッチアップ接種」が受けられます(2024年2月現在)。期間を空けて3回接種しなくてはならないため、無料期間に接種を完了するには2024年9月までに1回目を接種する必要があります。希望する方は余裕を持って接種しましょう。子宮頸がんは別名 “マザーキラー” と呼ばれるほど、子育て世代の若い女性に多い病気ですので、まだ接種を受けていない方はぜひ検討してみてはいかがでしょうか。
※詳しく知りたい方は厚生労働省のHPをご確認ください。
ご家族や近しい知り合いに対象者がいる場合は教えてあげてもいいかもしれないですね。ちなみに、“平成9年度生まれ〜平成18年度生まれ” に当てはまらない女性で「HPVワクチン」を接種していない場合はどうすればよいのでしょうか?
対象に当てはまらない場合でも「HPVワクチン」を実費で接種が可能です。保険適応外となるため10万円程度の自己負担でやや高額にはなりますが、発病リスクを抑えるためにもぜひ検討いただきたいと思います。
そうなのですね。鈴木先生、ありがとうございました!
まとめ
この記事では、鈴木先生に「妊娠前に受けておきたい検査や検診」についてお話しいただきました。ポイントをまとめると下記の通りです。
- 女性の場合、子宮頸がん検診、乳がん検診などの婦人科検診は定期的に受診し、子宮や卵巣に異常がないか確認することが大切。
- 内科などお近くの医療機関で風疹・はしかの抗体検査を行い、抗体がない場合にはワクチン接種を行う。
- 妊娠中、風疹に感染した場合には赤ちゃんにとって先天性心疾患、難聴、白内障などの原因になり、はしかに感染した場合には早産や流産、低出生体重児のリスクが高まる。
- 子宮頸がんの原因になり得る「HPV (ヒトパピローマウイルス) 」を予防する「HPVワクチン」の接種もぜひ検討を。一部対象者は2024年3月まで公費で「キャッチアップ接種」が受けられる。
お母さんにとっても赤ちゃんにとっても大敵となる病気はたくさんあります。定期的な検査やワクチン接種などを行って病気を事前に防ぎ、将来の妊娠に備えることが大切です。
1996年3月浜松医科大学卒業
1996年5月浜松医科大学医学部付属病院産婦人科
その後、大学関連病院勤務を経て
2003年3月浜松医科大学大学院修了
2003年4月米国カリフォルニア大学サンディエゴ校医学部がんセンター
2006年4月聖隷健康診断センター
2010年4月聖隷健康サポートセンターShizuoka 所長 現在に至る
2016年4月静岡県立大学客員教授