
「ブライダルチェック」とは?どんな検査をするの?

「ブライダルチェック」とは?
「ブライダルチェック」とはどういったものなのでしょうか?


ブライダルチェックは、妊娠・出産に関係する病気や感染症などを調べる検査です。一般的には結婚を控えた女性が受ける婦人科健診(検診)を指します。ただし明確に検査項目は決まっていないため、それぞれの病院で独自に検査項目をセットにしていることが多いです。
結婚の予定のない方や、結婚後の方でも受けられるのでしょうか?


結婚を控えた方が受ける検査のことをブライダルチェックと呼んでいることが多いと思いますが、結婚予定の有無に関わらず検査は受けることができます。
「ブライダルチェック」の検査項目
ブライダルチェックでは、どんな検査を受けるのがおすすめですか?


まず、子宮頸がん検診、経腟エコー検査 (経腟超音波検査)、腟分泌物 (おりもの) の検査の最低3つは検査しておくのがおすすめです。クラミジアの感染があると不妊の原 因になる可能性もありますし、性感染症はお互いに移し合ってしまうので事前に検査しておくとよいでしょう。
先生の病院だとブライダルチェックとして一番実施することが多い検査はどのような検査でしょうか?


子宮頸がん検診、経腟エコー検査、腟分泌物検査の3つに加えて、クラミジア検査、淋菌検査、子宮頸がんの原因になるHPV (ヒトパピローマウイルス) 検査などを希望される方が多いです。
また、卵巣内の卵子の数の目安(卵巣予備能)を調べる血液検査「AMH (抗ミュラー管ホルモン) 」検査を行いたいという方もいらっしゃいますよ。私の外来ではセットメニューのようなものを作っていないため、患者さんとどこまで検査するかを相談しながら進めています。全身を検査したいとなれば、人間ドックのようにさまざまな項目を増やすこともできます。

その人ひとりひとりに合わせて項目をカスタマイズできるのですね。

「ブライダルチェック」はどこで受けられるの?
「ブライダ ルチェック」は、一般的な婦人科であればどこでも受けられるのでしょうか?


希望する項目にもよりますが、子宮頸がん検診や感染症の検査、血液検査は一般的にはどちらの婦人科クリニックでも受けることができると思います。受診する前に医療機関のホームページを見たり、問い合わせたりして、項目や費用などを確認してから受診される方が安心です。
「ブライダルチェック」という検査メニューがなくても、それぞれの検査を別々で指定して受けられるのでしょうか?


そうですね。それぞれのクリニックの状況にもよりますが、可能であると思います。
「ブライダルチェック」にはどのくらいの時間がかかる?
ブライダルチェックにはどのくらいの時間がかかるのでしょうか?


所要時間は検診項目によりますね。たとえば、私の健診施設では、婦人科外来で行うブライダルチェックよりもより詳しく全身をチェックするプレコンセプションケア検診(妊娠前の健診)のコースがあります。このコースでは、婦人科系の検査だけでなく、人間ドックのように全身を検査するため、半日程度の時間がかかります。一方、子宮頸がん検診・性感染症の検査など婦人科の検査のみを受ける場合は、検査自体は数分で終わります。
たとえばがん検診に加え、経腟エコー検査で子宮・卵巣に問題がないかを確認し、感染症の有無を検査するためにおりものを採取する検査を行う場合、内診台での検査時間は5分程度かと思います。
「ブライダルチェック」の価格は?
ブライダルチェックは自費診療なのでしょうか?


症状がない場合は、あくまでも “検診” になりますので、保険適用ではなく、自費診療となります。
保険適用になる場合もあるのでしょうか?


おりものが気になる、生理痛が気になるなどの理由で受診する場合は、その症状に対する検査は保険診療になる可能性があります。症状は何もないけれど、心配だから検査したいという場合は自費診療になるのが一般的です。
自費診療の場合、大体いくらなのでしょうか?


大体10,000円〜30,000円くらいをイメージしていただくとよいと思います。自費診療の場合、検査費用は各医療機関で異なります。また、先ほどご紹介した「AMH検査」は、それだけで7,000〜8,000円程度費用がかかりますので、受ける検査の内容や項目数によっても大きく異なります。
「ブライダルチェック」を受けるのは女性だけ?
ブライダルチェックは女性が受ける検査という認識が一般的かと思いますが、男性も一緒に受けることは可能なのでしょうか?


医療機関によっては一緒に受けられる場合もあるかもしれませんが、婦人科やレディースクリニックですと女性が受けることができる検査だけが用意されていることが多いかもしれません。もし男性側の感染症や精子の数などに対する心配があれば、男性の方は泌尿器科を受診することをおすすめします。また、不妊治療の場合は、女性も男性も一緒に診てくれる不妊治療専門クリニックも増えてきています。
「ブライダルチェック」と「不妊検査」の違い
「不妊検査」とはどういったものなのでしょうか?


まず「不妊」の定義から確認しておきましょう。一般的に日本では “避妊をしないで性行為を行っているにもかかわらず、1年以上妊娠していない状態” を「不妊」と定義しています。つまり、妊娠を希望しているがなかなか妊娠しない方が原因検索を目的に行う検査が「不妊検査」です。
欧米では35歳以上の方で半年程度を目安に妊娠しなければ、病院の受診を推奨しています。これは日本でも同じで、年齢が高い場合には妊娠しない期間が1年未満であっても、早めに相談した方がよいでしょう。
なるほど。では、「ブライダルチェック」と「不妊検査」の違いはどうい ったところにあるのでしょうか?


「ブライダルチェック」は、結婚を考えている方が結婚前に妊娠に関わる検査も含めて身体の状態をチェックするための検診です。一方、「不妊検査」は、不妊の原因検索を行うための検査です。
「ブライダルチェック」と「プレコンセプションケア検診」の違い
「ブライダルチェック」と「プレコンセプションケア検診」の違いはどういった ところにあるのでしょうか?


検診項目は重複していることも多いかと思います。ブライダルチェックという言葉は以前から使われていますが、プレコンセプションケア(妊娠前のケア)という言葉は最近よく使われるようになってきました。プレコンセプションケアは、広い意味では、妊娠希望の有無に関わらず、妊娠の可能性がある若い年代すべての方の健康管理全般を意味し、狭い意味では、妊娠を目的としての身体のケアを示します。
「プレママチェック」や「プレママ検診」もブライダルチェックと同じ検査内容なのでしょうか?


はい。検診の名前はそれぞれの婦人科クリニックによるため、明確にどのような定義で検診の名前を付けているかは分かりません。検診名を問わず、検査項目を確認し、自分に合ったものを受けていただくのがよいと思います。
ブライダルチェック自体の定義が正確には決まっていないからこそ、医療機関によっても名前が違うのですね。


そうですね。婦人科系の検査だけをとらえてブライダルチェックを受けたい方、血液検査などの項目も含め全身のトータルヘルスチェックとしてブライダルチェックを受けたい方など、さまざまな方がいらっしゃると思います。医療機関ごとで検査項目が異なるので、どのような検査まで希望するかを検討しましょう。
そうなのですね!鈴木先生、ありがとうございました。

まとめ
この記事では、鈴木先生に「ブライダルチェック」についてお話しいただきました。ポイントをまとめると下記の通りです。
- ブライダルチェックは、妊娠・出産に関係する病気や感染症などを調べる検査のこと。一般的には結婚を控えた女性が受ける婦人科健診(検診)を指す。
- 結婚予定の有無に関わらず検査は受けられる。
- ブライダルチェックの検査項目は明確には決まっていない。主な検査に、子宮頸がん検診、経腟エコー検査 (経腟超音波検査)、腟分泌物 (おりもの) の検査などがある。
- ブライダルチェックは婦人科クリニックで受けられる場合が多い。希望する項目にもよるため事前にホームページを見たり問い合わせるとよい。
- ブライダルチェックの価格は、10,000〜30,000円ぐらいが相場。ただし検査項目や各医療機関によって異なる。
妊娠、出産に影響を与える病気や感染症を調べることができるブライダルチェック。普段の生活では気付きにくい病気の早期発見・治療にもつながります。
1996年3月浜松医科大学卒業
1996年5月浜松医科大学医学部付属病院産婦人科
その後、大学関連病院勤務を経て
2003年3月浜松医科大学大学院修了
2003年4月米国カリフォルニア大学サンディエゴ校医学部がんセンター
2006年4月聖隷健康診断センター
2010年4月聖隷健康サポートセンターShizuoka 所長 現在に至る
2016年4月静岡県立大学客員教授





