PMS (月経前症候群) とは?つらい腹痛やイライラを治すには
- 1.PMSとは?
- 2.PMSの症状一覧
- 3.PMSの治療方法
- 4.PMDDとの違いは?
- 5.まとめ
PMSとは?
PMSってなんですか?
PMS(月経前症候群)とは、生理前の3~10日の間続く、身体・心の不調のことをいいます。さまざまな症状がありますが、生理が始まると症状がなくなるのが特徴です。詳しい原因は解明されていませんが、排卵から生理までの期間に多く分泌されるエストロゲンとプロゲステロンという女性ホルモンの急激な低下による影響と考えられています。
PMSの症状一覧
PMSにはどのような症状があるのでしょうか?
PMSの症状は、腹痛、頭痛、腰痛、むくみ、食欲の増加、眠気や不眠、肌荒れなどの身体的症状や、イライラ、不安、情緒不安定といった精神的症状までさまざまです。どの症状も生理が始まると消えていきます。
生理が始まってから見られる症状は「PMS」ではない のでしょうか?
生理中の強い腹痛や腰痛などの不快症状は「月経困難症」と呼ばれ区別されています。
PMSの治療方法
PMSはどのように治療するのでしょうか?
まず、お薬以外に有効な対処法としては、規則正しい生活やカルシウム・マグネシウムの摂取、禁煙や節酒などがあります。それらだけでは十分に改善しない場合は、薬物療法を行います。PMSの治療では「低用量ピル」を処方することが多いです。 生理期間の不安定なホルモンバランスを整えるという点でピルでの治療が効果的ですが、ピルに抵抗がある方や、持病がある方、症状が限定的な方には、漢方や鎮痛剤、睡眠薬などのお薬を処方して様子を見ることもあります。
PMSの症状がある場合、必ず病院に行った方がいいのでしょうか?
先ほど申し上げたように、生活を整えることで症状が落ち着くような場合には、必ずしも病院での治療は必要ありません。そうでない場合は、産婦人科に相談してみるのが良いでしょう。また、腹痛が強い場合も、子宮内膜症や子宮筋腫、子宮腺筋症などが隠れている可能性もあるので、産婦人科で一度相談しておくと安心です。
PMDDとの違いは?
PMSとPMDDの違いを教えてください。
生理前の身体・心の不調を「PMS (月経前症候群) 」といいますが、そのなかでも特に精神的不調の程度が重く、日常生活に支障をきたすものを「PMDD (月経前不快気分障害)」 といいます。
具体的にはどのような症状があるのでしょうか?
PMDDでは、イライラ、憂うつ、不安感、集中力の欠如、不眠や過眠、感情のコントロールができなくなったり、過度な絶望感や不安感から死を考える希死念慮といったような精神症状が見られます。
PMSでは心や身体にさまざまな症状が見られるのですね。平塚先生、ありがとうございました!
まとめ
この記事では、平塚先生に「PMS」についてお話いただきました。 ポイントをまとめると下記の通りです。
- 「PMS (月経前症候群)」とは、生理前の3~10日の間続く、身体・心の不調のこと。生理が始まると症状は消える。
- 「PMS」の症状には、腹痛、頭痛、腰痛、むくみ、食欲の増加、眠気や不眠、肌荒れなどの身体的症状や、イライラ、不安、情緒不安定といった精神的症状までさまざまなものがある。
- 「PMS」の治療には、低用量ピルや漢方、鎮痛剤など症状に合わせたお薬が処方される。
- 「PMS」のなかでも特に精神的不調の程度が重く、日常生活に支障をきたすものを「PMDD (月経前不快気分障害)」 という。
腹痛や腰痛、むくみ、イライラなどさまざまな症状がある「PMS」。子宮内膜症や子宮筋腫、子宮腺筋症などの病気が原因の可能性もあるので、気になる場合には婦人科に相談し、適切な治療を受けるようにしましょう。
日本専門医機構認定産婦人科専門医
2018年3月 東京大学医学部医学科 卒業
2022年4月 帝京大学医学部附属溝口病院 産婦人科